2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2021/11/29

尖った鉛筆を、朱色のインクに浸けて、紙の上に一瞬走らせる。ひととひとの関係性に口をだすことは、身をけずることに他ならない。きみは沈黙する、そこにたゆたうのは詩でもなく、ゆたかな乳の香りでもない。不在、ということ。それから、声の残響。説明し…

2021/11/28

風を受け、その風が数億に分離する感触を、みずからの細胞が泡立ちながら澄ました顔をしてずっと向こうから歩いてくる人の視点で、ぼくは点になる。肉は日に日に朽ちていって、いまでは電子計算機のみが、ほろほろしながらもありえない数式を組み立てる。モ…

2021/11/27

ある晴れた日を想像しよう。そこには何があるか。というか、そこにはなにもなくていいのだ。晴れた日に、誰もいない公園に、影がある。影があることによって、その分の光がなくなってしまっている。実際にはそこに人が立っていて、その分の光を受けて、眩し…

2021/11/03

ああ、手がふるえて、文字入力もゆれる、乾いた汗のかすかなべたつきもパジャマにこすれて、きょうも境目がないままになくなる、わすれられたいと声は広がる前に立ち消え、寝転びながら部屋に押さえつけられる、どこにも行けないと、毎日どこかへ行く人が言…