2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ドアをひらこうにも、みぎてがいもむしになって、鍵穴から果汁がたれる、ほらほらこれがかの女のちいさな胸、ひだり隣のおとこがさしだすのは腐った西瓜とまとわりつく小蝿だった、ものをかぞえるということの不可能性、血をみたこどものあざやかな心象、ぶ…

さからうことのできない感覚のひょうりに、ねむけがあたたかいひざしのようにさしこむとき、ぼくはまたわすれることができる。 文字とかくだけで文字は増殖をくりかえし、ねむけは夏の洞窟のひややかな影のように覚醒をおさえこむが、洞窟がくずれおちること…

くさきをみて、その先のとがりを、ちくちくを、からだのうちがわに増殖としてかんじられるとき、神のたいりつがまさにここにあるとおもった。 うなだれた女のくびから花がさく。花はあおく、ゆるぎなくふとうめいだ。わたしのいしで、花は沈黙する。ひとのひ…

ひきさかれたうえに塩がぱっぱとふられ、あしたかわへ沈もうとおもう。幻の放流のなかをおよぐかの女は軍隊式のぼくらを見ることはけっしてない。ざっざっと弦楽器がそろって鳴る。わたしみらい、遠くへはいけない。あした狂う、暴力的なひかりの中で。 へい…

おとこがよこたわっている。きぬのようななめらかな脚のさきにいたるまで椿の赤黒い花が渦巻くように咲いて、血がしたたるようにみずみずしい。ざらついた脚の女はやわらかい椿の花を脚の先でふむ。光も影もなく、色のついた覚醒だけが、置き時計のようにお…