散らばる鳥

 ぐつぐつと土壌は煮えたぎる 遠くの絶命が聞こえてくる 不動の空よ 焼けて腐るのは女たちの女陰だけ わずかな草とともに 自然は全貌する 父の金切り声 引き裂いた下着の赤い膿から出る出るぼくの体 地中深くで根が巨大化する 殺戮前夜 化粧をして微笑むきみをあざわらうとき 果て果て果てと鳴いて進む光の向こうには断崖があって立ち止まって見る見る工場長とともに見る 胸の奥で 体の芯が震え みずみずしい羽がぶわあっとひらいて一瞬のうちに羽ばたき燃える空 下は無数の手 革命前夜 閉じたきみはちいさくなって屈辱を感じながら 永遠と虚無をつなげて 鳥を逃がしているその鳥がぼくだ! 地図を燃やす 地図の置かれた机を燃やす幽林を燃やし殺伐とした相対関係を燃やす 笑っていた うごくことはたのしい とおぞましい声で耳の裏から聞こえるとき キリストは象のように足をひきずりながらぼくのところまで来る 神は引き裂かれたと分裂病者は呟き 規律が拡散する目を無数にする体内はここではない文字は騒ぎ続けた