くさきをみて、その先のとがりを、ちくちくを、からだのうちがわに増殖としてかんじられるとき、神のたいりつがまさにここにあるとおもった。
 うなだれた女のくびから花がさく。花はあおく、ゆるぎなくふとうめいだ。わたしのいしで、花は沈黙する。ひとのひふをむくように、石をむこうとしても、がりがり刃が削れるだけで、わたしの目はしずんでゆく。
 惨憺たる眺望。
 文字たちがわたしのくるいを、爪を噛むような感触とともにみだす。さらさらとおしろいのような雪がふることはけっしてない! あらゆるものごとが、ふかい沼のようなよどみからうまれるてくると知って、あの可憐な少女も、そこにいたと知って。
 部屋のすみを這う虫が、ひとのように感じられるとき、神の、いぢわるなちょっかいを見る思いで、像はうしなわれ、あるくことさえできなくなった。