さからうことのできない感覚のひょうりに、ねむけがあたたかいひざしのようにさしこむとき、ぼくはまたわすれることができる。
 文字とかくだけで文字は増殖をくりかえし、ねむけは夏の洞窟のひややかな影のように覚醒をおさえこむが、洞窟がくずれおちることをぼくらは知らない。
 死体はしおみずをすいこんでふくれあがりうつくしかったうでもあしもあおいめも、異常者が窓のなかとそとを区別できないまま想像上の敵対者を警戒するような面持ち、の、ように、そ、れも、たびかさなる発狂によって、形だけが残ってしまったかのように、男か女かもわからず、こくうをみ、ている。