眠っているとき、夢を見て、朝食を食べているとき、それを目覚めていると言わないとするなら、実際に目覚めているとき、目覚めていないわたしは、眠っていると言えて、そういったことを、大きなことばや小さな言葉、強いことばや弱い言葉で形づくることは、もうそこにぼくはいないから、目が境界となってあっちとこっちを、目ではないもので見ることで、体もそれ以外もほろほろとくずれて、なにかを言おうとする口、その発せられるはずの、あるいは発せられるかもしれないことを聞こうと身構える耳、無関係に水滴が垂れる鼻、針のように見えるがそれは壁に張りついたもうひとりの目が感じとる底知れないひかり、もちろんこのぼくが(このわたしが)ふたつの音楽を同時に流すことで、一致したり乖離したり拡散するように、それはやがてなにも聞こえないことになっても、もう取り返しはつかないから、わずかに汚れた、そう炭や油で汚れた一冊の哲学書に、もうちょっとだけ赤いペンで文を囲って、いつか自分自身になにも語ることがないときに読み上げて、もう少し、もう少しと、先延ばしにすることを、認めてはくれないか、きみは。